1月に読んで感銘を受けた3冊を紹介しようと思いつつ、こんなに時間がたってしまった。
一冊目は「メンタライゼーションでガイドする外傷的育ちの克服」
二冊目は「夫婦関係を見て子は育つ」
最後の3冊目はこちら
田島陽子さんの「愛という名の支配」
私の世代以上の人は、テレビで見た記憶があるじゃないだろうか。
私の記憶だと、テレビでいつも怒っており、男性陣にバカにされてる人だった。
その人の本をなぜ読もうと思ったのか。
それは、こちらの記事を読んだから。
私も書籍を初めて読んで、自分が無知であることを知った。
以前のイメージは、おそらく作られたものだと思った。テレビは編集ができるから、怒る場面ばかりを見せられて、たぶんまんまとテレビ側の意図に乗っかっていたことに、そういう操作が多いのを、いい加減わかっているはずなのに、これまで、気がつくことができなくて、それは、やっぱり恥ずかしく申し訳ないことだと思った。
私もそうはっきりと感じている。
テレビで作られたイメージに引き寄せられ怖い人と思っていた。
この本は、女性が幸せに生きるための指針が書かれている。
私が感銘を受けた部分をピックアップしていく
奴隷船で生きている女性たち
彼女が、理不尽の中で自由に生きられない人と初めて認識したのは彼女の母親だった。聡明な彼女が学校に行かせてもらえず、結婚させられ良い嫁でいることを求められる。そんな母を可哀想にと思いながら、その母から折檻をされ、見た目をなじられ、耐え忍ぶ生活をしていたのが田島陽子さんである。
そんな窮屈な世界から逃げるには進学しかないと大学進学に合わせて上京。東京は華やかで自由にあふれる世界だった。
ように見えていたが、楽しそうにしているのは男たちだけでその裏で”お化け”のように男性に尽くす女たちがいることを知ってショックを受けるのだった。
男性の夢をかなえるために、陰で必死に支える女性たちの生活を「まるで奴隷船のようだ。」と表現しているのは秀逸だった。
目次にもあるが「結婚とは、女の家事労働を無償かする制度」にしか過ぎないのである。そんなタダ働きに耐えられないと声を上げ始めた女性が出始めたが、社会が女性に認めた権利は「母性」のみである。
痛いほど、このシステムに苦しめられてきたので共感しかなかった。
この著書が書かれたのが1992年である。その時代から声をあげてる人がいたのだと思うと心強い気持ちもあったが、2023年の今もこの価値観に縛られてる人が多いように感じる。
この女は家事育児をするという価値観は、長い年月をかけて作られたものである。
その為、無意識ではなかなか消すことはできないだろう。みんなそれぞれが意識し、草の根的に活動していかないと家事や育児は女がするものという古い考えの人が消えていかないと思う。
家族間での連鎖を断ち切るには
第五章では家族間での連鎖を断ち切る話が出てくる。
子育てと家事しか与えられていない女性たちは、自分の評価を子どもに置きがちである。そのため、教育熱心になったり、子どもに自分の気持ちを慰めさせたり、旦那からされた嫌なことの憂さ晴らしを子どもでしたりと歪んだ形で現れだすのだ。
男性は男社会で戦ってきている分、家では女性にケアを求めがちである。そして、子どものしつけや家事がちゃんとできているかチェックし、ダメ出しをする。奴隷船を支配する支配貴族(男性)と奴隷船長(女性)のような支配構造が誕生し、様々な部分に軋轢がでて、船員(子ども)に対して「愛とい名のいじめ」であるしつけが施されるのである。
その構造に気づこう!
と女性だけではなく、男性にも語り掛けてるように感じる内容なのである。
男運がないというセリフは自分に返ってくる
自分が不幸になるパターンをちゃんと分析して把握しないとまた同じことをする。
誰にどのように育てられたか。だれとどういう関係をもっていたか。どういうことにショックを受けていたのか。どんなことに、どんな人に心や体を気づけられたか。忘却の彼方に沈んでいる過去をもう一度思い出し、その時の気持ちを味わいなおし、大人になった自分が納得しておく必要があるのです。
引用元「愛という名の支配」P188
本当にその通りで、周りを見ているとよく同じ過ちを犯している人がいる。そういう人に限って「相手が悪い」となりがちなのである。相手は悪いのは最もだが、自分がその人を選んでしまった流れや思考の癖等を思い出さないとまた同じミスをしてしまうのである。
「母性」に固執している限り女に自由はない
自分を育てることをしないで子産みと子育てだけを中心に生きてきた人は、産めるか産めないかの境で、もう人生が終わったみたいに大騒ぎをします。それは唯一、女性に与えられていた「母性」という権利の喪失を敏感に感じとってるからなんですね。「母性」があると思われてきたから女は男に大切にされ、かろうじて男社会の端っこにぶらさがってこられたのです。
「愛という名の支配」P.218
女性にだけしかできないことは、出産のみである。その出産を「母性」という言葉で前面に押し出してくる都合の良い男性社会に、都合よく洗脳され都合の良い奴隷扱いされそこに甘んじておさまっていいのだろうか。と女性たちに語り掛けていると思う。
いまだに「母性的な女性」を求める人に多い印象はよくわかる。男性が結婚したい相手に保育士や看護師が人気なのもケアをしてもらいたい人が多いのはその傾向があるからではないだろうかとすら思う。
そして
女の人も”女役割”だけに満足せずに、ひとりの人間として自分の生きる道を選べるよう、その意識と態度を変えていかなくてはいけないと思います。
「愛という名の支配」P.222
これは私も自分の人生を男ありきにせず、責任もって生きること。一人でも大丈夫、二人でも大丈夫くらいのスタンスでいる。旦那が死んだら寂しいよ?面白いから楽しいけど、旦那が居なくても私は生きていく自信しかない。
最後に
なかなか強烈な目次が多くて紹介したい。
「男らしさ」は自立した人間、「女らしさ」は男に尽くす人間
子どもを思い通りにしたい親が作り出す”親不孝”
妻と母の役割はあっても自分がいない「良妻賢母」
私が嫌いなもの全部だわ。
男らしさとか女らしさは要らないし、子どもは産まれてくれて育ってくれただけで十分だし、妻とか母という役割を押し付けてきたらブチ切れる。
私個人を大事にしてもらえると嬉しいし、私も相手がなんであれ大事な人であれば大事にしたい。ただそれだけ。
中身気になる人はぜひ読んでみてね!